みなさんごきげんよう!
最近、鶏肉が美味い。
ここに来てまさかの鶏ブーム。
昨日唐揚げ作ったかと思えば、今日にはチキンスープを作る気でいるかんね。
R.I.P.ニワトリさん。僕の胃で安らかに眠って。
やあさ、
葛西臨海公園には鳥類園つーのがあって、割とヘビーなバードウォッチングスポットみたくなっておりまして、
広いし人少ないし、一回行ってすごい気に入ったんですけど、
や、鳥とかね、ごめん正直全然知らない。
すれ違った野鳥の会的なシルバー軍団には申し訳ないけど、本当、風景の一部か食用チキンとしてしか、意識したことすらほとんどなかった。
でもね、その瞬間は突然訪れたんです。
出会ってしまったんですよ、その日。
葛西臨海公園で。気になるアイツに。
「♪出会いはふとした瞬間〜♪」つってZONEが歌い始めたかと思ったかんね。
一目惚れっつーか、もう完全にジャケ買いだったんですけども。
紹介します。
僕の新しいソウルメイト。その名も「セナカカモ」。
や、うん、たしかこんな名前だった。
ひょっとすると「オナカカモ」だったかもしれない。
いずれにしても、メイビーで悩ましげなニュアンスがたまらなく好き。
センスの塊は葛西にあった。葛西(ここ)が新しいトレンド発信地なのかもしれない。
やあね、わかるよ。
カモという鳥に生まれた以上、散々いじられ倒してきたんでしょう?
「今日も座布団ゼロ枚……いよいよ笑点クビ鴨。」
だの、
「やだ、大好きなあの人の生命を軽く宿しちゃった鴨〜♡」
だの、
それはもうコスられまくった古典的なギャグなのかもしれない。
それにしても、ヤツのインパクトは凄かった。
紹介するボードの文字が光って見えたもんね。
セナカカモ。
名付けるときにずいぶん焦ってたってことしか伝わってこなかった。
何がだよ、っていう。
いちお背中確認してみれば、っていう。
もう少し情報くれたらね、
こちらにも「たしかに何か付いてる鴨〜!」って、
ノッてあげる余裕くらいならあった。
ウメボシイソギンチャクほどのハイセンスは求めないって約束すっから、
「コズミックハイイロセナカカモ」くらいのガッツを見せて欲しかった。
なのにこの令和のいま、敢えてのセナカカモ。
いっそ説明責任とか問われかねない。
まじ野党が黙ってない。
や、ね、僕の記憶ではほぼ確実に「セナカカモ」だったんだけど、
もうそれは非の打ちどころのない完全なるジャケ買いだったもんで、
セナカカモがどんな特徴的な背中をした鴨なのか、しっかり確認せずに帰ってきちゃったんですよね。
じゃあっつって、
ある日突然なにか心をよぎるものがあって、
心配になって、
それでまあ軽い気持ちで検索してみた。
「セナカカモって、結局背中がなんだっつーわけ?」
検索:セナカカモ
「一致する情報は見つかりませんでした。」
うううううう嘘でしょ?
世界にこれだけ鳥がいて、
これだけの名詞があって、
こんなに身近な「セナカ」と「カモ」の二語のコラボレーションを、
未だかつて誰も認めたことがないと…?
「スベスベマンジュウガニ」の存在を許してるこの令和の日本で…?
そんなはず………
じゃあ葛西のアイツ……?
でもGoogle先生のお導きにより判明した事実はひとつ。
……セナカカモがこの世に存在しないかもしれないということだけだ…!
そんなことって………!
じゃああの日のアイツは……マボロシ……?
訳がわからないまま、とりあえずひらがなにして再検索してみた。
検索:せなかかも
「急な背中の痛み、ぎっくり背中かも!」
ほらね。うん、だよね分かってた。
でもさGoogle先生。おめぇは初対面なんだからそのイジリ方はイジメに発展する可能性あっかんな。
担任の先生のいない所でやるんだぞ。(←悪い子)
ていうか、Googleで「背中かも」で検索するってどういう状況?
スマートスピーカーに話しかける自分。
「おっけーGoogle。背中かも。検索して。」
ねえわ。
どんだけ友達いねえの?
それ、もはや検索というより独白だから。日記感覚だから。
いよいよ謎に包まれるセナカカモ。
あれかい?葛西にしか存在しない、固有の生物かい?イリオモテヤマネコ的な?
検索:せなかかも 葛西
「江戸川区 介護付有料老人ホーム」
なぜ………そうじゃない……
これ、世が世ならイジリがイジメに変わる瞬間だから。ホント気をつけて。内申とかに響くから。
もうわかった。
最初からこうしときゃ良かった。
検索:せなかかも 鳥
出た出た。はいはいそういうこと。
本当さ、なんつーかいつもこう。
もうこうさ、早とちりとかじゃないのよね。
事実をね、こう、ねじ曲げて記憶してる。
本当、歴史とか大丈夫?
天下統一したのって、徳川じゃなくて徳永英明だったりしない?
本能寺の変とかだって、織田じゃなくて小田だったりしない?小田和正とか戦国武将の可能性ない?
蘇我馬子とか、ほんとに男だった?鶴子、馬子、羊子の三姉妹だった可能性とかない?
ほんと覚えた気になってるだけってのが一番危ないんだよ?
………………
おっけー。わかった。
いいよ、百歩譲ってオナカでいいよ。間違えてほんとごめん。そこは誠意を込めて謝る。
でもなにその受け入れ難い濁点。しかも二つ。
オナカでいいじゃん。かわいいじゃん。
じゃあね、千歩譲ってオナガまではいいよ。どうせ尾が長いんでしょうと。
ガモはねえよ。
ガモはやめようぜーーー。
下品だよ。不気味だよ。愛しにくいよーー。
……………………
ふう。世の中腑に落ちないことだらけだ。
でもねいいですか?
あのね世の中ね、濁点つけて良いことなんか、一つもない。
たとえばよ。
ほらダースベイダー卿がもし、「タースペイター」とかだったら、あの史上最大の親子喧嘩は、おかくらと幸楽あたりで収まってたかもしれない。
世界を股にかけるとしても、アルプスあたりで少女の名前を呼ぶ程度が関の山。
ベートーベンがもし「フェートーフェン」とかだったら、あの交響曲第5番「運命」は、「シンフォニック・キラキラ魔法少女」とかになってたかもしれない。
そう、濁点がつくと、人生に苦労が滲んでくる。裏切りとか挫折を乗り越えてきてそう。
漫画でいったら劇画風。敷居高め。
「りぼん」とか「なかよし」あたりに連載されたいなら、純心にして無垢だった汚れなきあの頃を忘れちゃいけないと思うの。
オナガガモおめえ、鴨にしては欲張り過ぎ。
というわけで拝啓オナガガモ一族の皆様。
濁点二つはお早めにご返品ください。あと、「セナカカモ」お買い得ですよ……!
敬具。